かわさき そのさきツアー
記事作成2025年10月22日

私たちのふるさとの川、多摩川。生きものを訪ねて巡る旅へ。

市街地のすぐそばに、驚くほど豊かな自然が息づいている川崎市。まちの喧騒を少し離れれば、水辺や里山、緑地、干潟など、多様な生きものたちが暮らす場所が点在し、市民がいつでも自然にアクセスできることが魅力のひとつ。
調べてみると、その多くは、私たちのふるさとの川、多摩川ととても深い関係が!
今回は、多摩川に注ぐ市内の湧水地から、多摩川のゴール地点、川崎の海まで、流域の生きものたちに出会いながら、巡ってみましょう。

スポット1自然豊かな多摩川に注がれる湧水地。そこは、生きものたちの楽園でした

ツアーのスタート地点は、生田緑地の南側に広がる里山、通称「とんもり谷戸(やと)」です。
「とんもり」は“飛森”と書くこの地域の名。谷戸は小さな谷のことを表します。
ここには清らかな水が湧き出し、「とんもり川」という小川となって里山を潤しています。この湧水は、ここから平瀬川を経由して、約6km先の多摩川に注がれます。

とんもり川沿いに広がる雑木林には遊歩道が整備され、気軽に散策を楽しむことができます。鳥のさえずりや川のせせらぎが心地よく、歩きながら思わず深呼吸。歩くだけで心身ともに癒されていくのを感じます。

澄んだ水がさらさらと流れる小川にはかわいいサワガニがいました。
そして巻貝の一種であるカワニナも見つけることができました。このカワニナ、ゲンジボタルの水生幼虫時にエサとなる生きもの。

そう、ここにはゲンジボタルも生息しているんです。初夏の夜にはホタルが舞い、あたり一面が淡い光に包まれるのだとか!
きれいな水のもとでないと生息できない生きものが、住宅地のすぐそばに。こんなに豊かな自然が残っているなんて、本当に驚いてしまいます。
じっくりと周辺を観察していると、こんな植物を発見!

ヨゴレネコノメという、山地の谷沿いに生息する多年草。その姿から名付けられたのですが、ちょっとかわいそうな名前・・・。でも、黄色のグラデーションが美しい、不思議な魅力のある花に、ちょっとうっとり。

とんもり谷戸の自然を守っているのは、地域の人たちでつくる「飛森谷戸の自然を守る会」。
谷戸の風景を次の世代に残そうと、会のメンバーが中心となって草刈りや落ち葉の片づけ、水路の整備などを行っています。春には田んぼでの田植え体験や生きもの観察会、夏にはホタルの鑑賞会、秋には稲刈り体験など、季節ごとのイベントも開催。こどもから大人まで、楽しみながら自然とふれあえるよう工夫されています。また、来園者の方からの貴重な自然情報の共有や、近隣小学校と連携した保全活動も実施しています。こういった活動のおかげで、「とんもり谷戸」では一年を通して美しい里山の風景が保たれ、四季折々の豊かな自然に出会えるんですね。

こんな場所

とんもり谷戸

川崎市宮前区初山1丁目地内

東急田園都市線「溝ノ口」駅・小田急線「登戸」駅よりバス「初山」下車 徒歩約10分

飛森谷戸の自然を守る会

スポット2多摩川 野鳥たちが集まり、安らぐ母なる川

とんもり谷戸の小川が平瀬川に注がれるその少し上流、多摩川から二ヶ領用水が流れ始める地点まで歩いてきました。
ここには、多摩川の水の一部を二ヶ領用水に導く「二ヶ領宿河原堰」があります。その堰を管理する事務所に併設されているのが「二ヶ領せせらぎ館」。小さなミュージアムのような施設で、多摩川の自然や生きものを見て・触れて・学ぶことができるとのこと。早速、入ってみましょう。

館内に入るとまず目に入るのは、「ミニ多摩川水族館」と名付けられた大きな水槽。メダカやドジョウ、コイ、フナなどいろいろな種類の魚が水槽の中をゆったりと泳ぎ回っています。
スタッフの方に話を聞くと、展示されている生きものはすべて多摩川や二ヶ領用水で実際に見られるものだそう。生きものたちの様子を眺めていると、実際に多摩川の水の中を眺めているような不思議な気分に。

そうそう、多摩川は水質が改善されて、いまは「清流の女王」とも呼ばれるアユも見られるんですよ。ということは、その魚たちを狙う野鳥たちも、きっと見られるはず。

せせらぎ館の目の前に流れる多摩川の穏やかな流れには、カワセミやサギが羽を休める姿も。館内にある望遠鏡を使って、野鳥たちの仕草を間近で観察することもできます。
春にはツバメ、冬にはカモなど、季節ごとに出会える鳥たちも変わるのだそう。館内ではボランティアの皆さんが撮影した鳥たちの写真も展示されています。近隣に自生する野草も、開花時期に合わせて展示されているそうなので、訪れるたびに新しい出会いを楽しむことができそうです。

こんな場所

スポット3多摩川に広がる緑 ゆっくり歩きながら、生きもの探し

次に向かったのは、多摩川緑地。ここからは、植物に目を向けてみましょう。
川崎市に沿ってゆったり流れる多摩川の河川敷に広がるこの緑地は、川の氾濫をからまちを守る役割も持ちながら、地域の人たちが気軽に自然とふれあえる場所として親しまれています。川沿いには散歩道や「かわさき多摩川ふれあいロード」が続き、広場や野球場もあって、ジョギングや愛犬とのお散歩を楽しむ人たちの姿もあちこちで見られます。
そして足元に目を向けると、ハマダイコンの花。

日本全国でよくみられる植物ですね。いつも通勤する道や散歩道も、そこに息づく動物や植物に目を向けてみると、ちょっと楽しくなりますね。四季折々の美しい風景を見せてくれる多摩川緑地帯で、心豊かな時間を過ごせました。

こんな場所

多摩川緑地

緑地内の施設について:川崎市のWebサイト「多摩川緑地の施設」でご確認ください。

スポット4都市に残る貴重な湿地、そこは生きものの宝庫

多摩川をずっと河口までたどってみましょう。もう海がすぐそこ、川崎区の殿町エリア。このあたりは、住宅地と工場地帯とのちょうど間のあたり。実はここに、驚くほど広大かつ貴重な干潟が残されているのです。

引き潮の時間を見計らって干潟を訪ねると、予想以上にたくさんの生きものが!小さな穴から顔を出すカニたちや、ボラの稚魚などの小魚の姿も。アシ原の奥を見れば、サギやカモ、シギなどの水鳥たちが集い、羽を休めたり、餌をついばんだりする姿が見られます。

こちらはアシハラガニ。干潟の開けたところやアシ原に多く生息しているカニです。この大都市の中に、こんなに豊かな野生の世界が広がっていることに、驚きと感動を覚えます。

この干潟を守り、地域の人たちに自然を伝える活動をしているのは「NPO法人多摩川干潟ネットワーク」の皆さん。行政や地域団体とも連携し、自然保全や防災への取り組みを行っているほか、大師河原干潟館(大師河原水防センター)を拠点にこども向けの観察会や環境学習などを「だいし水辺の楽校」として開催しています。
「だいし水辺の楽校」では、干潟の生きものを間近で観察したり、泥の中に隠れた生きものを探したりと、五感で学べるプログラムが盛りだくさん。月に1回のペースでイベントを開催しているので、干潟に興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。こどもだけでなく大人の方の参加も多いそうです。

こんな場所

だいし水辺の楽校(大師河原干潟館)

川崎市川崎区大師河原1-1-15

京急電鉄大師線「東門前」駅下車 徒歩約7分

大師河原水防センター(大師河原干潟館)

スポット5海底に広がる生きものの楽園 ― 東扇島周辺

多摩川をたどり、ついに海までやってきました。
ここは、川崎臨海部にある人工島・東扇島です。川と海とが出会うこの場所。周りを見ると工場や空港、そして運河を行きかう大きな船。一見、生物がいるようには見えないのですが・・・
海の中に入ってみると、実はそこは、海の生きものたちの楽園でした。

その証拠となるのが、このアマモ。海のゆりかごと呼ばれているこのアマモが群生する「アマモ場」は、魚や貝など多様な生きもののすみかになったり、産卵場所、隠れ家になったり、光合成によって海中の二酸化炭素を吸収して酸素を放出したりするなど、多様な生きものの生育・生息に重要な役割を果たしているのです。

さらに、川崎港の海の中を見てみましょう。こんどは貝類が堆積する海底に、イトマキヒトデ。

そして、ヒガンフグの姿も。

まとめ

多摩川をたどりながら、川崎の生きものたちを巡るツアー、いかがでしたか?
川崎にとって、多摩川はちょっと特別な存在。まちの発展と、ひとびとの交流と、癒し、そして豊かな自然をもたらしてくれる、私たちのふるさとの川。その多摩川が、私たち人間だけでなく、たくさんの生きものたちの「ふるさと」にもなっていることを、あらためて知ることがでました。
海、川、そして私たちの暮らしは、しっかりとつながっています。この美しい川崎の自然を次世代に引き継げるように、これからもみんなで、自然と共存する暮らしを続けていきたい、そう感じた一日でした。

※撮影は専門家指導のもと、安全に配慮して行っています。
※干潟や海中の撮影は特別な許可のもとで行っています。また干潟は一部立ち入りが制限されている場所があります。

シンカ

みんなでつくろう、かわさき生き物マップ

都会の中でも、公園や庭、道路脇などにいろいろな生きものが生活しています。そして、私たちに季節の移り変わりを教えてくれたり、花の受粉を助けたりしてくれています。
川崎市では、生物多様性の保全と、人と自然が共生するまちを目指して、市内の生きものや自然の情報を集めています。
「かわさき生き物マップ」は、皆さんが見つけた生きものを写真付きで投稿するWebサイト。生きものの種類ごとにアイコンで表示。季節を指定することもできるので、生きもの探しの散策にも便利です。
ぜひスマホ片手に、生きもの探しに、出かけてみませんか?

かわさき生き物マップ