かわさき そのさきツアー
記事作成2025年12月02日

予想を超えて進化する。知られざる「川崎港」探索

東京湾に広がる川崎港。工業地帯のイメージですが、実は、私たちの暮らしを支える「縁の下の力持ち」。
食料品や日用品などの物流だけでなく、いざという時に首都圏の人々を守る、大きな役割も。
今回は、その「知られざる川崎港」の魅力を、普段は立ち入ることができない施設に潜入してお届けします!

スポット1川崎市、そして首都圏の暮らしと産業を支える巨大ターミナル

まずは川崎港についてご紹介。
川崎港は東京湾を埋め立てて整備された港で、広さは約2,053.2ha。なんと多摩区とほぼ同じくらいの広さ!川崎市が管理する公共ふ頭と、企業が所有する専用ふ頭で構成されています。
川崎港は、東京港、横浜港、大阪港、神戸港と並ぶ「国際戦略港湾」に指定された港。令和5年の取扱貨物量は全国第11位、大小さまざまな船が1日に平均約40隻入港しています。
川崎港の令和6年の輸出額は1兆2692億4400万円、輸入額は2兆8741億6100万円。自動車や化学薬品が主に輸出される一方、外国からはLNG(液化天然ガス)や原油、石炭などの原材料のほか、家具や食料品など私たちの生活に身近な品々も輸入されています。川崎港は首都圏の便利で快適な生活に欠かせない存在として、非常に重要な役割を果たしているのです。

スポット2首都圏のエネルギー供給を支える川崎港

さてそれでは、川崎港をめぐるツアーに出発!

まず、川崎港といえば、京浜工業地帯。日本のエネルギー物流の重要な拠点で、日本でも屈指のエネルギー関連施設が集積するコンビナートとして知られています。

港内には大規模な製油所や発電所が立ち並び、海外から船で運ばれてきた原油やLNGは、ここ川崎港でエネルギーに変換され、首都圏の産業活動や家庭へ電力・燃料として供給されているのです。

この巨大な設備は、東亜石油株式会社が所有する「フレキシコーカー」。重質油を熱分解してガソリンや軽油を生産する装置で、40年以上前に世界で初めてここ川崎で稼働した、日本唯一の設備です。工場夜景としても大人気!
人びとの生活を支える重要なエネルギーの精製装置。東亜石油の社員の皆さんもこの装置には深い愛着を持っています。社内では2024年創業100周年を記念し、写真コンクールを開催。そのステキな作品を見ても、世界に誇る技術への愛が感じられますね。

東亜石油株式会社

スポット3年間143万トンの貨物を扱う ― 川崎港コンテナターミナル

川崎港の一番海側にある「川崎港コンテナターミナル」を、上空から見下ろしてみました。
たくさんのコンテナが並びます。
ここは、国内外から運び込まれるコンテナを、効率的に積み下ろし・保管・輸送するために整備された施設です。大型コンテナ船が接岸できる岸壁や、最新のガントリークレーン(巨大な荷役クレーン)を備え、コンテナの積み替えや一時保管、通関手続きなどがスムーズに行えるように整備されています。

その巨大なガントリークレーンに潜入!
3人がギリギリやっと乗れる小さなエレベーターで地上約40メートルまで上昇すると、広大な川崎港が一望できます。クレーンの作業はまさに職人技なんです。この高さから見下ろしながら、クレーンで一つずつ正確にコンテナを運びます。

現在は家具や日用品、衣類などの取り扱いも多い川崎港コンテナターミナルで取り扱う貨物は年間143万トン。3基のガントリークレーンで、世界中との物流をつないでいます。

川崎港コンテナターミナル

スポット4首都圏の「冷蔵庫」~冷凍冷蔵倉庫が集積

続いて、同じ東扇島にある冷凍・冷蔵倉庫群にやってきました。ここにはたくさんの冷凍倉庫・冷蔵倉庫が並びます。なんとその保管能力は合計で約90万トン!

世界から、大きなコンテナ船で、毎日いろんな食品が届き、首都圏4000万人の食卓を支える川崎港は、まさに「首都圏の冷蔵庫」ですね。

私たちの食卓を支えてくれるって、すごいこと。ではその核心は一体どんなもの?

それを探るべく、いざ冷凍倉庫の中へ!今回は、山手冷蔵株式会社・川崎ロジスティックセンターの巨大な冷凍倉庫を特別に見せていただきました。

まず率直な感想。寒い!!それもそのはず、何と室温は零下25度。主に取り扱うのは食肉で、カナダやブラジル、中国から船で川崎港に着いたばかりのさまざまな種類の冷凍肉が次々に倉庫に効率よく運び込まれていきます。

一日に約8万ケースの貨物を取り扱う倉庫。正確で安定した物流を支えるため、チームワークが大切。一方で零下25度にもなるため、けがやミスのないように、体を温めながら作業しているそうです。

ことし4月に入社のYさん、日々の業務が問題なく終わったときと、扱う商品をスーパーで見かけたときなどにやりがいを感じるそう。「実際に働いてみて、生活にいかに身近で重要な存在であるかを強く感じるようになりました」と話してくれました。

建物は免震・耐震構造を備えており、災害時にも安全に稼働可能。平常時は全国への食品供給を支え、非常時には食料の安定供給拠点としても機能し、地域の食の安心にも貢献しています。さらに、省エネ性に優れた自然冷媒を使用したノンフロン冷凍機が導入され、CO2排出量の削減にも取り組んでいます。
一年365日、私たちの毎日の食卓を支えてくれているのです。

山手冷蔵株式会社

スポット5災害時の防災と物流の拠点 ― 首都圏臨海防災センター

東扇島東公園にやってきました。ここは、芝生広場やウッドデッキ、人工海浜、運動場やドッグランもある広大な臨海公園。のんびり、海を行く船や、飛行機を眺めながら一日過ごすことができます。

でもこの公園、それだけじゃないんです。実は、首都直下地震など大規模な災害時には、首都圏の防災と物流の拠点になる、とても重要な施設なんです。

災害発生時に国が運用する「東京湾臨海部基幹的広域防災拠点」にもなっているこの公園は、大規模災害発生後24時間を目途に緊急物資などを受け入れる拠点に早変わり。国内外からの船やヘリコプターでの支援物資輸送や、広域支援部隊の受け入れなども。この写真の中心部、丸くなっている部分はヘリポートに。

公園内には大きな白いテントが。普段は閉ざされているのですが、今日は特別に見せていただきました。
ここには、防災拠点となる時に、広場や岸壁を応急復旧する資材や重機、照明などの設備がたくさん備蓄されています。

こちらは首都圏臨海防災センター。24時間365日職員が常駐して、万一の災害発生時には基幹的な広域防災拠点として迅速に機能すべく、常日頃から訓練や設備点検、体制整備が万全に行われています。

私たちの安心・安全な暮らしは、ここ川崎港でも、まもってくれているのです。

首都圏臨海防災センター

スポット6港を行き交い、そして支える船たち

自動車専用船

川崎港にはたくさんの船が行き来しますが、近くで見るとまるで壁!のようなこちらの船は自動車専用船。
首都圏の製造・消費地に近く、国内外の物流拠点としても重要な役割を果たしている川崎港では、なかでも自動車の輸出拠点としての顔を持ち、日本国内で生産された乗用車を世界各国へ届けています。その輸送を担うのが、自動車専用船です。

巨大な立体駐車場のような船内には、数千台もの自動車を積載できます。メインは新車の輸出。プロのドライバーが、手際よく、隙間なく自動車を積み込んでいきます。川崎港は日本のモノづくりを世界へ届け、海外の資源や製品を受け入れるゲートウェイ(玄関口)なのです。

電気推進船(清掃船)

川崎港では、港内の環境美化と海洋汚染防止のため、専用の清掃船が日々活躍しています。
港内の運河や沿岸を巡回して、流木やゴミを回収・処理する「つつじ」。この船は、全国の官公庁向けとして初めて導入された、電気で動く清掃船(電気推進船)です。CO₂排出量を大幅に削減できる電気の船に、特別に乗船させていただきました。エンジン音がないので、とっても静かなのに驚きです!まるで海面を滑るような感覚でした。

つつじは、前面から海面に浮かぶごみを集めて、船体後部にあるかごに入れていく仕組み。約3トンのごみを収集できます。同時に完成した小型の電気船「みらい」と2隻で、平日の午前と午後に収集しています。

港での環境対策の新しい一歩となる電気推進船。海をきれいにすることは、港を行き来する船の安全確保のほか、海の生態系の保護や水質の改善にもつながっているんです。

まとめ

東扇島を中心に、川崎港の知られざる姿を見てきました。
エネルギー基地として、国際貿易の拠点として、災害時の防災基地として。そして休日には、たくさんの人が訪れる憩いの場として。
様々な顔を持つ川崎港は、今日も、明日も、岸壁には大型船が行き交い、常に活気にあふれています。
その姿は、首都圏の暮らしを支えてくれる、まさに縁の下の力持ち。
私たちが誇れる、川崎の港、そのあふれる魅力を実感した、特別な一日でした。

シンカ

川崎臨海部はカーボンニュートラルな地域へ。

川崎の臨海部は、エネルギー供給拠点、ものづくり産業の集積地として、日本に貢献し、世界をリードしてきました。近年のカーボンニュートラルに向けた動きのなか、川崎臨海部も、化石資源からの脱却というかつてない大変革が求められています。このような変革に向けて機を逸することなく対応するため、川崎市はコンビナートとしての企業連携、水素の利活用など川崎ならではの強みを活かし、今後 50 年、100 年にわたって持続可能な、世界の模範となる産業地域の形成を目指して、川崎カーボンニュートラルコンビナート構想を策定しました。地域と調和した、市民の誇りとなる産業集積地を目指すことを理念に、世界に先駆けてカーボンニュートラルなエネルギー供給拠点となること、付加価値の高い産業拠点となること、競争力のある産業地域となることを目指しています。

川崎カーボンニュートラルコンビナート構想